連日の危険な暑さのなか、「外出先で涼める場所があれば」と感じた方は多いのではないでしょうか。近年、ニュースや自治体の広報で「クーリングシェルター」「熱中症特別警戒アラート」という言葉を目にする機会が増えました。どちらも2024年に始まった比較的新しい制度で、「聞いたことはあるけれど、実際にどこで、いつ使えるのかは知らない」という方も少なくないはずです。この記事では、環境省・東京都・横浜市・世田谷区の公式情報にもとづいて、クーリングシェルターの仕組みと探し方を整理して解説します。
先に、この記事の要点をまとめます。
- クーリングシェルター(指定暑熱避難施設)は、危険な暑さから避難できる場所として市区町村長が指定した冷房設備のある施設で、熱中症特別警戒アラートの発表期間中に一般開放される
- 熱中症特別警戒アラートは、都道府県内すべての観測地点で暑さ指数35以上が予測される場合に前日午後2時に発表される、従来の熱中症警戒アラートより一段上の情報
- 東京都・横浜市とも、クーリングシェルターや涼める施設を地図・リストで検索できる公式ページを用意している
ただし、「クーリングシェルターならいつでも開いている」と思い込むと、現地で戸惑うことがあります。開放されるタイミングと通常時の扱いには知っておきたい注意点があり、記事の後半で説明します。まずは制度の基本から確認していきましょう。
クーリングシェルターとはどんな施設?
クーリングシェルターとはどんな施設? 危険な暑さから避難できる場所として市区町村長が指定した、冷房設備のある施設のことで、正式名称は「指定暑熱避難施設」といいます。
クーリングシェルターの制度は、気候変動適応法(平成30年法律第50号)の令和5年改正によって設けられました。環境省の案内によると、市町村長は、適当な冷房設備を備え、公表した受け入れ可能人数に対して必要かつ適切な空間を持つ施設を、指定暑熱避難施設(クーリングシェルター)として事前に指定します。指定されるのは、冷房設備を有する公民館や図書館などの公共施設が代表例です。どの施設を指定するかは、それぞれの自治体が決めています。
指定された施設は、後述する「熱中症特別警戒アラート」が発表されている期間中、一般に開放されます。つまり、その施設をふだん利用しない人でも、危険な暑さのときには涼むために立ち寄れる場所になる、というのがこの制度の柱です。
環境省熱中症予防情報サイトのリンク集によると、クーリングシェルターを指定済みの市区町村は全国で1,255市区町村(2026年7月17日現在)にのぼり、暑さをしのぐ施設を含めると1,405市区町村まで広がっています。お住まいの市区町村がどの施設を指定しているかは、このリンク集から各自治体の公式ページにたどり着けます。引っ越してきたばかりで地域の施設に馴染みがない方は、転出届・転入届の手続きとあわせて、近所の涼める場所も早めに把握しておくと安心です。
熱中症特別警戒アラートは、これまでの警戒アラートと何が違う?
熱中症特別警戒アラートは何が違う? 従来の熱中症警戒アラートより一段上の情報で、都道府県内すべての観測地点で暑さ指数35以上が予測されるという、過去に例のない危険な暑さの際に発表されます。
熱中症のおそれがある暑さを知らせる情報には、現在2つの段階があります。環境省の令和8年度運用開始の報道発表によると、両者の違いは次のとおりです。
ひとつめの「熱中症警戒アラート」は、2021年度から全国で運用されている情報で、府県予報区等内の暑さ指数(WBGT)情報提供地点のいずれかにおいて、翌日または当日の日最高暑さ指数が33以上となることが予測される場合に、前日午後5時と当日午前5時に発表されます。夏の天気予報でよく耳にするのはこちらです。
ふたつめの「熱中症特別警戒アラート」は、気候変動適応法の令和5年改正にもとづき2024年度から始まった、より深刻な段階の情報です。それぞれの都道府県内のすべての暑さ指数情報提供地点において、翌日の日最高暑さ指数が35以上となることが予測される場合に、前日午後2時に発表されます。「県内のどこにいても危険な暑さから逃れられない」ことが見込まれる状況で出される情報であり、クーリングシェルターの開放はこの特別警戒アラートと連動しています。
なお、2026年度(令和8年度)のアラート運用期間は、2026年4月22日から10月21日までです。暑さのピークである8月だけでなく、10月下旬まで運用が続きます。大雨・台風の「警戒レベル」と同じく、暑さの情報にも段階があることを押さえておくと、ニュースの受け止め方が変わってきます。風水害の警戒レベルの見方は防災情報アプリと警戒レベルの解説記事で詳しく説明しているので、あわせてご覧ください。
東京都では、涼める場所をどこで探せる?
東京都では涼める場所をどこで探せる? 東京都熱中症対策ポータルに「クーリングシェルター・TOKYOクールシェアスポット」の検索リストがあり、区市町村が指定した施設と都が選定した施設をまとめて探せます。
東京都には、性質の異なる2種類の「涼める場所」があります。東京都熱中症対策ポータルの案内によると、ひとつは区市町村長が指定する「クーリングシェルター(指定暑熱避難施設)」で、2024年4月から始まった、熱中症対策を目的とする屋内中心の施設です。もうひとつは都環境局による「TOKYOクールシェアスポット」で、2023年夏から始まった、冷房環境をみんなで共有する省エネ目的の取り組みであり、屋外の施設も含まれます。名前は似ていますが、指定する主体と目的が異なる別の制度です。どちらも同ポータルのリストから検索できます。
区によっては、独自の名称で涼める場所を案内している例もあります。たとえば世田谷区では、「熱中症予防『お休み処』」という名前で、外出時に気軽に休憩できる場所を2026年6月15日から9月30日まで開設しています。世田谷区の案内によると、区役所・総合支所・出張所・まちづくりセンター・区民センター・地区会館のほか、調剤薬局・公衆浴場・接骨院・高齢者や障害者の施設など多様な施設が参加しており、場所は「せたがや涼風マップ」や区公式LINEで確認できます。特徴的なのは、お休み処は熱中症警戒アラート・熱中症特別警戒アラートの発表にかかわらず、各施設の営業時間内に開設されている点です。
区役所や図書館は、証明書の取得や調べものなど、ふだんの用事で立ち寄る場所でもあります。コンビニ交付サービスの仕組みで紹介したように行政の窓口サービスは多様化していますが、猛暑の季節には、こうした公共施設が「涼める場所」としての顔も持つことを知っておくと、外出の計画が立てやすくなります。お住まいの区市町村の行政施設の場所は、くらしぽーたるの行政施設ガイドからも確認できます。
神奈川県・横浜市ではどうなっている?
神奈川県・横浜市ではどうなっている? 横浜市は「クールシェアスポット」を2026年度から指定暑熱避難施設(クーリングシェルター)として位置付けており、専用のポータルサイトで場所を検索できます。
横浜市の案内によると、クールシェアスポットは、冷房設備等を有する施設の開館(営業)時間中に、椅子やベンチなどの既存設備を活用して、外出時に一時休憩できる場所です。2026年度(令和8年度)からは、このクールシェアスポットが改正気候変動適応法第21条にもとづく指定暑熱避難施設に位置付けられ、市と施設との間で協定が結ばれる仕組みになりました。2026年は4月23日から10月22日までの期間で開設されており、施設の場所や受け入れ情報は「横浜市クールシェアスポットポータルサイト」で地図や条件から検索できます。
また、横浜市の案内では、神奈川県に熱中症特別警戒アラートが発表されるのは、県内5地点すべての暑さ指数が35に達する場合と説明されています。都道府県単位で発表される情報なので、横浜市だけが暑い日ではなく、県内全域が危険な暑さになる日に出される、という点も押さえておきたいところです。
このように、同じ「涼める場所」の制度でも、名称・期間・運用は自治体ごとに違いがあります。東京都内にお住まいの方と神奈川県内にお住まいの方とでは、確認すべき公式ページが異なるので、自分の生活圏に合わせて入口を覚えておくことが大切です。
利用するときの注意点は?
利用するときの注意点は? 法律上の開放義務があるのは熱中症特別警戒アラートの発表期間中で、それ以外の時間帯の利用は、自治体・施設ごとの運用によって異なります。
ここで、記事の前半で触れた「いつでも開いているとは限らない」という注意点を説明します。制度上、指定暑熱避難施設の開放が定められているのは、熱中症特別警戒アラートが発表されている期間です。東京都熱中症対策ポータルの案内でも、熱中症特別警戒情報が発表されたときに、施設管理者が開放可能日等に住民に施設を開放すると説明されています。
一方で、実際の運用は自治体によって幅があります。世田谷区のお休み処のようにアラートの発表にかかわらず開設期間中は利用できる例もあれば、横浜市のクールシェアスポットのように開設期間(2026年は4月23日〜10月22日)と開館時間が決まっている例もあります。つまり、「特別警戒アラートが出ていない日は絶対に使えない」わけでも、「24時間いつでも使える」わけでもありません。それぞれの施設の開放可能日・開館時間・受け入れ可能人数は施設ごとに公表されているので、事前に各自治体の公式ページやマップで確認するのが確実です。
また、名称が「クーリングシェルター」「クールシェアスポット」「お休み処」と自治体によって異なる点も、探すときのつまずきポイントです。お住まいの自治体のページで見つからないときは、環境省熱中症予防情報サイトのリンク集から自治体名で探すと、公式の案内ページにたどり着けます。ご自身だけでなく、近所に高齢のご家族がいる方は、その方の生活圏にある施設もあわせて確認しておくと、いざというときに案内できます。
この記事で持ち帰れること
クーリングシェルターと熱中症特別警戒アラートについて、次の3点を押さえておけば、危険な暑さの日に落ち着いて行動できるはずです。
- 熱中症警戒アラート(暑さ指数33以上)と特別警戒アラート(県内全地点35以上)の2段階があり、クーリングシェルターの開放は特別警戒アラートと連動していると判断できること
- お住まいの自治体でどこが涼める場所に指定されているかは、東京都・横浜市などの公式検索ページや環境省のリンク集から調べられること
- 開放されるタイミング・期間・名称は自治体ごとに異なるため、「いつでも開いている」と思い込まず事前確認が必要なこと
危険な暑さは、体力に自信のある方にとっても他人事ではありません。まずは今日、お住まいの市区町村のクーリングシェルター(または涼める施設)の案内ページを開いて、自宅や職場の近くの施設を1つ確認し、ブックマークしておきましょう。それだけで、外出中に体調の異変を感じたときの選択肢が1つ増えます。
なお、クーリングシェルターの指定状況やアラートの運用は、年度ごとに見直されることがあります。この記事は2026年8月時点で確認できた情報にもとづいています。最新の指定施設・開設期間は、お住まいの市区町村の公式サイトで必ずご確認ください。
よくある質問
Q. クーリングシェルターは誰でも利用できますか?
A. はい、熱中症特別警戒アラートの発表期間中は一般に開放されるため、その施設をふだん利用しない方でも涼むために立ち寄れます。ただし施設ごとに開放可能日や受け入れ可能人数が公表されているので、事前に自治体の公式ページで確認しておくと確実です。
Q. 熱中症特別警戒アラートが出ていない日はクーリングシェルターを使えませんか?
A. 法律上の開放義務があるのは特別警戒アラートの発表期間中ですが、自治体や施設の運用によっては通常時も休憩場所として利用できます。世田谷区の「お休み処」はアラートの発表にかかわらず開設期間中の営業時間内に利用でき、横浜市のクールシェアスポットも開設期間中は開館時間内に一時休憩できます。
Q. 熱中症特別警戒アラートはいつ・どこで確認できますか?
A. 前日の午後2時に発表され、環境省熱中症予防情報サイトなどで確認できます。従来の熱中症警戒アラートは前日午後5時と当日午前5時の発表です。2026年度(令和8年度)の運用期間は2026年4月22日から10月21日までです。
Q. 東京都のクーリングシェルターとTOKYOクールシェアスポットは何が違いますか?
A. クーリングシェルターは区市町村長が指定する熱中症対策目的の施設(2024年4月開始・屋内中心)、TOKYOクールシェアスポットは都環境局による省エネ目的の取り組み(2023年夏開始・屋外含む)です。どちらも東京都熱中症対策ポータルのリストから検索できます。
Q. クーリングシェルターはどんな施設が指定されていますか?
A. 環境省の案内では、適当な冷房設備を備え、受け入れ可能人数に対して必要かつ適切な空間を持つ施設が指定されるとされており、公民館や図書館などが代表例です。世田谷区のお休み処のように、調剤薬局・公衆浴場・接骨院など民間の施設が休憩場所として参加している地域もあります。
