「子どもの医療費助成があるらしいけど、うちの子はいつまで対象なんだろう」——引っ越してきたばかりの方や、子どもが中学・高校に上がるタイミングでこの疑問を持つ方は少なくありません。医療費助成は児童手当と違って全国一律の制度ではなく、対象年齢や所得制限の有無が自治体ごとに異なります。この記事では、東京都・神奈川県の公式情報にもとづき、制度の仕組みと自治体ごとの違いを整理して解説します。

  • 子ども医療費助成は保険診療の自己負担分を自治体が助成する制度で、児童手当とは別に窓口での申請が必要
  • 東京都内の多くの区市では高校生年代(18歳になった日以後最初の3月31日)まで、所得制限なしで対象になっている
  • 神奈川県は市町村ごとの差が大きく、横浜市は2026年6月から、川崎市は2026年9月から対象年齢が拡大される

「うちの子はもう中学生・高校生だから対象外」と思い込んでいる家庭も、お住まいの自治体で対象年齢が拡大されている可能性があります。まずは制度の基本から確認しましょう。

子ども医療費助成とは、どんな制度?

子ども医療費助成とは? 子どもが医療機関を受診したときの保険診療の自己負担分(通常2〜3割)を、住んでいる自治体が助成する制度です。

児童手当が現金を直接給付する制度であるのに対し、子ども医療費助成は「医療証」を医療機関の窓口で提示することで、その場で自己負担分の支払いが不要になる(または後日払い戻しを受ける)仕組みです。対象となるのは健康保険が適用される診療・調剤・入院が中心で、健康診断や予防接種、保険適用外の治療は対象外になります。

制度の名称は自治体によって異なり、「子ども医療費助成」「乳幼児医療費助成」「マル乳・マル子・マル青医療証」など呼び方はさまざまですが、いずれも保険診療の自己負担分を公費で助成する仕組みという点は共通しています。

自治体によっては、対象年齢を1本の医療証でカバーせず、年齢区分ごとに医療証の種類を分けている場合があります。たとえば大田区では、就学前を対象とする「乳医療証」、小学生から中学修了前を対象とする「子医療証」、高校相当年齢を対象とする「青医療証」の3段階に分かれています。子どもの成長にあわせて医療証の切り替え(更新)が必要になることがあるため、「以前もらった医療証がそのまま使えるはず」と思い込まず、進学・年齢の節目には医療証の種類が変わっていないか確認しておくと安心です。

児童手当が国の制度として全国一律であるのに対し、子ども医療費助成は各市区町村が独自に運営する制度です。そのため、児童手当の支給額・申請方法を確認したときと同じ感覚で「全国どこでも同じ内容だろう」と考えると、対象年齢や所得制限の有無で思わぬ差があることに気づきにくくなります。

対象年齢は何歳まで? 自治体でどう違う?

子ども医療費助成の対象年齢は何歳まで? 東京都内の多くの区市では、高校生年代(18歳になった日以後の最初の3月31日)まで、所得制限なしで対象になっています。

東京都内で公式情報を確認できた区の例です。

  • 世田谷区:0歳から18歳に達した日以後最初の年度末(3月31日)まで。所得制限の記載なし
  • 大田区:0歳から18歳到達後最初の3月31日まで(乳医療証・子医療証・青医療証の3段階)。所得制限の記載なし
  • 江東区:高校3年生等まで(18歳到達後の最初の3月31日まで)。所得制限なし

東京都内の区市では、この「18歳になった日以後の最初の3月31日まで、所得制限なし」というパターンが広がっています。以前は中学生までが対象だった自治体でも、高校生年代まで拡大されているケースが多いため、「うちの子はもう高校生だから対象外」と思い込んでいる家庭は、お住まいの区市のページであらためて確認することをおすすめします。

神奈川県内は自治体差がより大きくなります。神奈川県が実施する県の制度は「中学卒業(または中等教育学校の前期課程修了)までの入院」「小学校卒業までの通院」が基本ですが、これに市町村が独自に上乗せする形で運営されているため、実際の対象年齢は市町村ごとの制度を確認する必要があります。

  • 横浜市:2026年6月から対象年齢を18歳まで(18歳に達する日以後の最初の3月31日まで)に拡大。所得制限なし、自己負担額は全額助成
  • 川崎市:2026年9月1日から、対象年齢を高校生年代(18歳に達した日以後の最初の3月31日まで)まで拡大予定。あわせて通院1回あたり500円の一部負担金も廃止し、所得制限なし

このように、神奈川県内でも横浜市・川崎市のような政令指定都市では2026年に対象年齢の拡大が続いており、以前の情報のまま止まっていると「うちの市はまだ中学生までのはず」と誤解しやすい状況です。お住まいの市町村が制度を変更したタイミングかどうかは、自治体公式サイトの最新情報で確認するのが確実です。

ここで押さえておきたいのは、神奈川県の制度が「県が定める最低ライン」であり、実際に住民が受けられる助成内容は市町村がそこに独自の上乗せをした結果として決まる、という二層構造です。県の基準どおりの対象年齢にとどまっている町村もあれば、横浜市・川崎市のように政令指定都市が独自財源で高校生年代まで大きく上乗せしているケースもあります。同じ神奈川県内でも「隣の市は高校生まで対象なのに、うちの市はまだ中学生まで」という差が生まれるのは、この上乗せ方式によるものです。転居先を検討する際に医療費助成の内容も比較材料にしたい場合は、県の制度ではなく、必ず転居先市町村の制度を個別に確認する必要があります。

東京都内3区と神奈川県内2市の子ども医療費助成の対象年齢・所得制限を比較した図解

一部負担金はかかる? 自己負担はどれくらい?

子ども医療費助成の自己負担はどれくらい? 確認できた自治体はいずれも保険診療の自己負担分(2〜3割)が全額助成され、窓口負担は原則0円です。

世田谷区・大田区・江東区・横浜市では、医療証を提示すれば保険診療の自己負担分を支払わずに受診できる仕組みになっています。川崎市も2026年9月の制度変更で、それまで小学4年生以上に設けられていた通院1回あたり500円の一部負担金が廃止され、全ての対象年齢で自己負担分が全額助成される統一制度になります。

ただし、健康診断・予防接種・薬の容器代・入院時の食事療養費の一部など、保険診療の対象外となる費用は助成の対象外です。また、都外・県外の医療機関を受診した場合は、その場で医療証が使えず、いったん自己負担分を支払ったうえで後日申請して払い戻しを受ける方式になっている自治体が多いため、里帰り出産や旅行先での受診時は、お住まいの自治体の払い戻し手続きをあらかじめ確認しておくと安心です。

なお、横浜市では2026年4月から神奈川県外の国民健康保険組合に加入している方も、都度の払い戻し申請ではなく医療機関等の窓口でそのまま助成を受けられるようになるなど、運用面の改善が続いています。里帰り出産や転居前後で加入している健康保険が変わる場合は、「窓口で使えるか・払い戻しが必要か」がその時点の制度でどちらに当たるのか、お住まいの自治体窓口に確認しておくと、受診時に慌てずに済みます。

医療証はどうやって申請する?

子ども医療費助成の医療証はどう申請する? 出生・転入の届出とあわせて、お住まいの市区町村の窓口・郵送・電子申請で「医療証交付申請書」を提出します。

多くの自治体では、出生届や転入届を提出する際に子ども医療費助成の申請も同時に案内される運用になっていますが、児童手当と同様に「自動的に交付される」制度ではなく、申請して初めて医療証が交付される制度です。引っ越しの役所手続きの期限と順番を確認する際に、転入届とあわせて子ども医療費助成の申請窓口も一緒に確認しておくと、同じ来庁で手続きが完結しやすくなります。

必要書類は自治体によって差がありますが、一般的には健康保険証(または資格情報の分かるもの)、申請者の本人確認書類、振込先口座の分かるものが求められます。すでに他の自治体で医療証の交付を受けていた場合は、転出・転入にともなって医療証の再交付手続きが必要になる点にも注意が必要です。

児童手当と子ども医療費助成、両方申請が必要?

児童手当と子ども医療費助成は同時に申請される? いいえ、児童手当と子ども医療費助成は別の制度のため、それぞれ個別に申請する必要があります。

児童手当の支給額・申請方法で解説したとおり、児童手当は国の制度として現金を給付する仕組みです。一方、子ども医療費助成は市区町村が独自に運営する医療費の助成制度で、対象要件・申請窓口・必要書類はそれぞれ異なります。児童手当を申請したからといって、自動的に子ども医療費助成の医療証が交付されるわけではありません。

出生や転入のタイミングでは、同じ窓口・同じフロアで両方の申請ができる自治体も多いため、児童手当の窓口を訪れる際に「子ども医療費助成もあわせて申請したい」と伝え、両方まとめて手続きすることをおすすめします。

まとめ:対象年齢の拡大は自治体公式サイトで確認を

この記事では、子ども医療費助成の仕組みと、東京都・神奈川県内の自治体ごとの対象年齢の違いを解説しました。この記事で持ち帰れることは次の3つです。

  • 子ども医療費助成は保険診療の自己負担分を自治体が助成する制度で、児童手当とは別に申請が必要なこと
  • 東京都内の多くの区では高校生年代まで所得制限なしで対象になっており、神奈川県は横浜市が2026年6月から、川崎市が2026年9月から対象年齢の拡大が予定されていること
  • 「うちの子はもう対象外」と思い込む前に、お住まいの自治体公式サイトで最新の対象年齢を確認する必要があること

2026年度時点の情報です。制度の対象年齢や所得制限の有無は自治体の判断で変更されることがあるため、最新の制度内容は必ずお住まいの自治体公式サイトでご確認ください。転入予定がある方は、転入先の自治体の子ども医療費助成のページをあらかじめブックマークしておくと、手続きの際に迷いません。

よくある質問

Q. 子ども医療費助成に所得制限はありますか?

確認できた東京都内の区(世田谷区・大田区・江東区)、神奈川県内の横浜市・川崎市(2026年9月〜)では、いずれも所得制限は設けられていません。ただし、これは自治体ごとの制度によるため、お住まいの自治体の公式サイトで所得制限の有無を確認することをおすすめします。

Q. 高校生になったら医療費助成は受けられませんか?

いいえ。確認できた自治体はいずれも、高校生年代(18歳になった日以後の最初の3月31日まで)を対象に含めています。以前は中学生までが対象だった自治体でも、対象年齢が拡大されているケースがあるため、「高校生だから対象外」と思い込む前にお住まいの自治体で確認してください。

Q. 引っ越した場合、医療証はどうなりますか?

転出元の自治体で交付されていた医療証は、転出後は使用できなくなります。転入先の自治体で、あらためて医療証交付申請を行う必要があります。引っ越しの役所手続きの期限と順番にあわせて、転入先の子ども医療費助成の申請も同時に行うとスムーズです。

Q. 都外・県外の病院を受診した場合はどうなりますか?

多くの自治体では、医療証がその場で使えるのは都内・県内の医療機関が中心です。都外・県外の医療機関を受診した場合は、いったん自己負担分を窓口で支払い、後日領収書などを添えて申請することで払い戻しを受ける方式が一般的です。里帰り出産や旅行先での受診に備えて、お住まいの自治体の払い戻し手続きをあらかじめ確認しておくと安心です。

Q. 児童手当を申請すれば、子ども医療費助成も自動的に受けられますか?

いいえ。児童手当は国の制度、子ども医療費助成は市区町村が独自に運営する制度のため、それぞれ個別に申請する必要があります。出生・転入のタイミングでは、同じ窓口で両方まとめて申請できる自治体が多いため、窓口を訪れる際に両方申請したい旨を伝えることをおすすめします。